運動

歩いて健康になろう!【ポイントは歩く速度】

歩いて健康になろう!

 

疑問を持つ人
歩くのが健康に良いって聞くけど、どれくらい健康に良いの?

 

朝の早い時間に散歩しているお年寄りをよく見かけますよね。
おそらくみなさん健康のために、散歩をしていると思われます。
そんな印象から

 

歩く=お年寄りの運動

 

と、思っていませんか?
歩いて健康になれるのは、お年寄りだけではありません。
実は、若い人でも歩くことで健康になれるんですよ。

 

この記事では、そんな歩くことのメリットと歩くときのポイントについて、科学的に証明されていることをベースにお話します。
ただ歩いてもいいですが、ちょっとしたポイントを意識して歩くだけで、健康効果が大きくなります。
ぜひ、歩くときの参考にしてみてください。

 

記事の流れ

  • 歩くことの健康効果
  • 歩くときのポイント

 

歩くことの健康効果

 

人間にとって歩くことは自然なことで、誰でもできるので特別なことのように思いません。
なので、私達は歩くことを軽く考えてしまいがちです。
しかし、歩くことで健康的になれたり、メンタルに良い影響があることが多くの研究や実験からわかっています。

 

歩くことの効果

  • メンタルの改善
  • 頭の回転が良くなる
  • 病気の予防

 

メンタルの改善

 

メンタルの改善は体感として、一番わかりやすいことからもしれません。
嫌なことがあったりしたときに、体を動かすと少しスッキリした経験はありませんか?
私はイライラすることがあった日は、いつも以上に体を動かすことにしています。
歩くだけでも、その効果はあるようです。

 

科学的にも、1日20分程度歩くだけで不安が軽減することが確認されています。(*1)
日常的にストレスが溜まっている人は、軽く散歩するだけでも良いので、歩く時間を確保してみてはいかがでしょうか。

 

頭の回転が良くなる

 

学生の方には朗報です。
1日10分歩く程度の軽い運動をするだけで、脳の実行的な機能を高めることができるそうです。(*2)
10分歩くだけで、脳の機能が上がるなんて驚きですよね。
脳の機能が上がる理由は、脳由来神経栄養因子(BDNF : Brain-derived neurotrophic factor)が関係しています。

 

BDNFは、記憶力・学習能力などの認知機能と強い関係があることがわかっています。
マウスのBDNF発現量を半分に減らした研究では、学習能力が大きく低下することがわかりました。(*3)
つまり、BDNFの量が多いほうが記憶力・学習能力が上がることが示されたのです。

 

そして、このBDNFを簡単に増やす方法が「歩く」ことです。
人間を対象とした実験で、ちょっとキツめのウォーキングを1回行うと、BDNFが増加するということが確認されているのです。(*4)
学生、特に受験生の方などは、毎日歩くことをおすすめします。
毎日10分以上歩くことを習慣にするだけで、成績が上がる可能性があります。
あなたに受験生の知り合いがいるのなら、教えてあげてください。
きっと喜ばれます。

 

病気の予防

 

歩くことは病気の予防にも役立ちます。
歩くことで予防できるとされている病気は多くあります。

 

予防できる代表的な病気

  • ガン
  • 高血圧
  • 認知症
  • うつ病

 

歩くと血圧やコレステロール値などが下がります。
それが病気の予防につながっていると考えられています。
2015年に発表させたいろいろな研究をまとめたメタ分析結果でも、歩くことは健康的なメリットが多くあり、特に脳卒中などの病気に非常に効果的であることが示されました。(*5)

 

病気の予防のために、お金をたくさん使っている人は多いと思います。

 

  • 高価なサプリメント
  • 謎の磁気ネックレス
  • 成分不明の飲み物

 

こんな効果が保証されていないものよりも、科学的に効果が保証されている「歩く」ことの方が断然病気の予防になります。
お金を使うよりも、自分の足を使ったほうが将来病気になる確率をグッと下げることができますよ。
効果な健康グッズを売りつけられそうになったら、「科学的なエビデンスはありますか?」と聞いてみてください。
答えられなければ完全に詐欺です。(ツイッターで私に相談してくれてもOKです)

 

歩くときのポイント

 

歩くことのメリットについて、これまでお話してきました。
ここからは、それらの効果を最大限高めるための「歩き方」について、お話していこうと思います。

 

歩き方をちょっと変えるだけで、「歩く」効果が上がるので、どうせ歩くなら効率よく歩きましょう。

 

ポイントは「速度」と「歩数」です。

 

群馬県

 

群馬県中之条町で行われている、65歳以上の高齢者5000人を対象とした観察研究をご紹介します。
この研究は、1日の平均歩行回数が健康にどのような影響を与えるのかを調べた研究で、2000年に始まり今も続いています。
(2020年3月時点)

 

この大規模な研究からわかったことは、「中強度の運動を、1日平均20分程度」している人の健康状態が最も良かったということです。

 

中強度って何?

「ちょっと会話するのがしんどい」ぐらいの運動です
ケント

 

健康のために歩いている人は多くいますが、皆さんゆっくり歩きすぎです。
たしかにゆっくり歩いても、健康には良いでしょうが、もうちょっと早く歩いたほうが健康になれます。

 

具体的には、「歩きながら会話するのがちょっとしんどい」ぐらいのちょっと早い速さで歩きましょう。

 

ちょっと早いぐらいの速度で歩いた方が、心拍数が上がり、下半身の筋肉も多くつかうことになります。
心拍数が適度に上がれば心肺機能が高くなります。
下半身の筋肉が鍛えられれば、将来寝たきりになることを防いだり、自力で歩けなくなる確率を下げることは言うまでもありませんよね。

 

そして、歩数も重要です。
1日平均8000歩を目安に歩きましょう。

歩数と病気

 

この図は、中之条町の研究結果から作ったものです。
横軸が歩数、縦軸が中強度の運動時間にしたものです。

 

この図からわかるように、「1日平均8000歩」歩けば多くの病気の予防になります。
「1日平均10000歩」歩くとメタボリックシンドロームの予防にもなるとされていますが、歩きすぎも膝や腰の負担になります。
メタボリックシンドロームの予防には、食事内容の改善の方が重要なので、「1日平均8000歩」が良いと思います。

 

あまり歩くことに時間をかけすぎても、他のことができなくなってしまうので、ほどほどが一番です。
目安として、「1日平均8000歩」を心がけてください。

 

多く歩くコツ

  • 駅まで少し遠回りする
  • 近所の買い物なら歩いて行く
  • エレベーターではなく階段で上がる

 

日常のちょっとしたことを工夫するだけで、歩数は変わります。
あなたの生活の中で、工夫できるところを探してみてください。

 

8000歩歩けと言われても、何歩歩いたかなんて数えれないですよね。
スマホには歩数をカウントする機能がついているものもあるので、そちらの機能を使ってもOKです。

 

スマホでも良いですが、個人的には「万歩計」や「活動量計」をおすすめします。

 

「万歩計」や「活動量計」のメリット

  • 手ぶらで歩きに行ける
  • 歩くのが楽しくなる

 

ポケットにスマホを入れて歩いていると、「なんか邪魔だな~」と思いませんか?
微妙にスマホが入っている方のポケットだけ重いので、左右のバランスが悪いような感じがします。
その感じが嫌なので、私はスマホは家に置いて、「活動量計」をつけて歩いています。

 

多くの「万歩計」や「活動量計」何歩歩いたのかを自動的に残す機能がついています。
毎日の歩数がわかるので、

 

「昨日はちょっと少なかっから、今日はちょっと多めに歩こうかな」
「来週は忙しいから、今週多めに歩いておこうかな」

 

と計画を立てることもできるので、やる気アップにも繋がります。
私も実際に使ってみて、スマホで計測していたよりも歩くようになりました。
スマホだと、ゲームやLINEアプリばかり気になって、見ないんですよね(笑)。

 

中之条町では万歩計などの測定できる器具を持つだけで、1日平均2000歩も多く歩くようになったそうです。
安めのもので良いと思うので、「万歩計」や「活動量計」を試してみてはいかがでしょうか。

万歩計

 

活動量計

 

ツイッターでは健康に約立つ情報、ブログの更新通知などを行っています。良ければのぞいてみてください。
また、ブログの感想もお待ちしています。送ってくれると喜びます。
Twitter

 

【参考文献】
(*1)
Petruzzello SJ, Landers DM, Hatfield BD, Kubitz KA, Salazar W.
A meta-analysis on the anxiety-reducing effects of acute and chronic exercise. Outcomes and mechanisms.
Sports Med. 1991 Mar;11(3):143-82.

(*2)
Verburgh L, Königs M, Scherder EJ, Oosterlaan J.
Physical exercise and executive functions in preadolescent children, adolescents and young adults: a meta-analysis.
Br J Sports Med. 2014 Jun;48(12):973-9.

(*3)
Linnarsson S, Björklund A, Ernfors P.
Learning deficit in BDNF mutant mice.
Eur J Neurosci. 1997 Dec;9(12):2581-7.

(*4)
Morais VA1, Tourino MFD1, Almeida AC1, et al.
A single session of moderate intensity walking increases brain-derived neurotrophic factor (BDNF) in the chronic post-stroke patients.
Top Stroke Rehabil. 2018 Jan;25(1):1-5.

(*5)
Hanson S, Jones A.
Is there evidence that walking groups have health benefits? A systematic review and meta-analysis.
Br J Sports Med. 2015 Jun;49(11):710-5.

-運動