
近年注目されている腸内環境。
雑誌やテレビでも
- 腸内環境を整えよう
- 腸内フローラを健康に
- 腸活
など特集されることも増えてきました。
そして、腸内環境がメンタルに影響を与えているという研究結果から
- ADHD(注意欠陥・多動性障害)
- うつ病
上記のような精神性の病気の対策として、腸内環境を見直す動きがあります。
メンタルに関係する病気は、日本やアメリカなどの先進国では深刻な状態で、年々その数は増えてきています。
今までは、薬やカウンセリングなどの対処療法しかありませんでした。
しかし、腸内環境を整えてあげることでメンタルが改善することがわかってきました。
この記事では
- 腸内環境とメンタルは本当に関係しているのか?
- メンタルを不安定にしている原因
- 対処方法
の順番でお話していきます。
あなたの悩みは腸内にあるかもしれません。
この記事が信頼できる理由
きちんとした大学や研究期間の発表を元に書いているので、安心してお読みください。
記事の流れ
- 腸内環境は大切
- 腸内環境とメンタルの関係
- 腸内環境を悪くしている原因
腸内環境は大切

腸内環境はとても大切です。
なぜなら、私達の免疫やメンタルまでコントロールしているからです。
腸内環境とは、腸の中に住んでいる菌の量やバランスのことです。
私達の体には、目に見えない細菌がたくさん住んでいて
その種類は、1~3万種類だと言われています。
重さで言うと、約2キロです。
人間の体に住んでいる細菌の多くは腸内に住んでいて、腸内細菌と言われています。
ヨーグルトに入っている乳酸菌も腸内細菌の一種です。
そして、腸は「第二の脳」と言われていています。
なぜ第二の"脳"なのか?
それは、腸が脳からの命令がなくても、独自で動くことができるからです。
知っての通り、人間の体は脳からの信号で動いています。
最も重要な臓器である「心臓」も、脳からの信号で動いています。
脳から命令されなくても、ある意味勝手に動ける腸は特別な臓器と言えるでしょう。
そして、腸の働きの大部分をコントロールしているのが腸内細菌です。
ヨーグルトを食べ初めたら、風邪をひきにくくなった。
こんな話を聞いたことはありませんか?
これは、ヨーグルトに入っている乳酸菌をなどの細菌が腸内環境をよくして、免疫機能をコントロールしてくれているからです。
ヨーグルトを食べると、風邪をひきにくくなるだけではなく
- 肥満
- 高血圧
- にきびなどの肌トラブル
などにも効果があることが知られています。
これらの効果はすべて、腸内細菌の力によるものです。
腸内細菌の力は、スゴいですね。
腸内環境とメンタルの関係
腸内環境がとても重要なことはわかりましたが、メンタルとの関係はどうなのでしょう。
メンタル、つまり心の問題が腸からきているとは、なかなか信じられませんよね。
しかし、腸内環境とメンタルの関係は科学的に証明されているのです。
2011年にカナダの大学で行われた研究をご紹介します。
この研究では、腸内細菌がいなくなるとマウスにどのような影響があるのかを調べました。(*1)
結果は
腸内細菌を取り除かれたマウスは、普通のマウスと比較すると
- 病気になりやすくなった
- ストレスホルモンが多く分泌されるようになった
- 不安障害やうつ病になりやすくなった
腸内細菌がいなくなったマウスは、病気になりやすくなっただけでなく、メンタルにも大きな影響があったことがわかりました。
やはり腸内環境はメンタルと関係があるようです。
「マウス実験だけだと信じられない」という人のために、人間を対象にした実験もご紹介します。
2013年に発表された論文で、36人の女性を対象にして行われた研究です。(*2)
この実験では女性を3つのグループに分けました。
- 菌類が入ったヨーグルトを食べるグループ
- 菌類が入っていない、見た目と味はヨーグルトのようなものを食べたグループ
- 何を食べてもいいグループ
上のような食生活を4週間続けてもらい、その後それぞれのグループがどれくらいメンタルが安定しているのかを調べました。
調べ方はMRI(磁気共鳴画像法)を使って脳の活動を観察する方法です。
(詳細は長いので省略します、気になる人は記事したの参考文献をご覧ください)
結果は、
「菌類が入ったヨーグルトを食べるグループ」のメンタルが一番安定しているという結果になりました。
この研究結果から、腸内環境がメンタルや脳に大きな影響をあたえていることが確認されました。
つまり、ヨーグルトなどの腸内環境によいとされる食べ物を食べるだけでも、私達のメンタルにはいい影響があることがわかったのです。
ヨーグルトなどの発酵食品は腸内環境によいことが科学的に証明されています。
ぜひ、積極的に食べてみてください。
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-
【発酵食品のメリット】発酵食品で腸活|そもそも発酵食品とは
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腸内環境を悪くしている原因
これまで解説してきたように、腸内環境が悪くなるとメンタルが不安定になります。
では、何が私達の腸内環境を悪くしているのでしょう。
意外なモノで言うと、風邪のときなどに処方してもらう"抗生物質"です。
抗生物質
抗生物質は、風邪などのときに原因になっている病原菌を消すために処方されます。
病原菌を減らすことにはたしかに効果があり、ちゃんと使えば病気に対しては有効です。
しかし、抗生物質がダメージを与えるのは、病原菌だけではありません。
私達の健康を助けてくれている腸内細菌にも深刻なダメージを与えるのです。
昔と違って現代では、誰でも比較的かんたんに抗生物質を処方してもらうことができます。
ただの風邪なら本来、抗生物質を使うは必要ありません。
しかし、風邪を少しでも早く治したいがために抗生物質を使用してしまい、大切な腸内細菌にダメージを与えているのです。
あなたがもし、必要以上に抗生物質を使用しているのなら、それがあなたのメンタルを不安定にしている原因かもしれません。
一度、医師と相談してみてください。
ストレス
ストレスもメンタルに悪い影響を与えます。
「そんなこと誰でも知ってる」と思うかもしれませんが、ストレスには2種類あります。
- 急性的なストレス
- 慢性的なストレス
急性的なストレスとは、瞬間的なストレスのことで心拍数があがるようなことです。
- 誰かから殴りかかられる
- 災害が発生する
- 命の危険を感じるような出来事
などです。
現代ではこのようなストレスは少くなってきました。
しかし反対に、慢性的なストレスは増え続けています。
慢性的なストレスとは、ずっと続いているぼんやりとしたストレスのことです。
- 会社への不満
- 将来の不安
- お金の心配
などの、現代人なら誰でも心の隅っこで感じているストレスのことです。
あなたにも1つはあると思います。
もちろん私にもあります。
急性的なストレスよりも慢性的なストレスの方が、腸内環境には悪いとされています。
そして、日本などの先進国では慢性的なストレスがメインのストレスです。
常にストレスを感じていると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが過剰に分泌されます。
コルチゾールが過剰に分泌されると、腸内環境にダメージを与えることが知られています。
「ストレスは万病のもと」と呼ばれることもありますが、これは事実です。
ストレスは"なんとなく悪いもの"ではなく、ハッキリと私達の体とメンタルの両方にダメージを与えているのです。
ストレスを減らすためには
- 自然と多く接する
- 運動をする
この2つがストレスには効果的です。

そんなスピリチュアルなこと言われても
そう思われるのも仕方がありません。
私も昔はそう思っていました。
しかし、精神論的な話ではなく、実際に自然と接すると人間は安心することが研究で明らかなになっているのです。
私達が自然と多く接すると、副交感神経が活性化することがわかっています。(*3)
副交感神経はリラックスしているときに働く神経系で、体の疲れを回復させたり、消化・吸収を促したりする役割があります。
つまり、人間は自然と多く接しているとリラックスできて、体の疲れを回復させることができるのです。
つい数百年ぐらい前までは、人間も自然に囲まれて生活していました。
しかし、その後の急速な科学の発達で、現代のような機械とコンクリートに囲まれた環境に変わりました。
人間の遺伝子は数百年程度では進化できません。
つまり、私達は遺伝的には適応していない環境で生活しているのです。
その証拠として、今でも原始的な生活を送っている人達には"ストレスという概念がない"ことが知られています。
しかし、私達日本人が原始的な生活を送ることは不可能です。
なので、休日に公園に散歩に行く程度でもいいので、できるだけ自然と接す機会を増やしてみてください。
あなたのストレスレベルが下がり、メンタルに良い影響があるはずです。
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【参考文献】
(*1)
Neufeld KM, Kang N, Bienenstock J, Foster JA.
Reduced anxiety-like behavior and central neurochemical change in germ-free mice.
Neurogastroenterol Motil. 2011 Mar;23(3):255-64
(*2)
Tillisch K, Labus J, Kilpatrick L, Jiang Z, Stains J, Ebrat B, Guyonnet D, Legrain-Raspaud S, Trotin B, Naliboff B, Mayer EA.
Consumption of fermented milk product with probiotic modulates brain activity.
Gastroenterology. 2013 Jun;144(7):1394-401
(*3)
Miles Richardson, Kirsten McEwan, Frances Maratos & David Sheffield
Joy and Calm: How an Evolutionary Functional Model of Affect Regulation Informs Positive Emotions in Nature.
Evolutionary Psychological Science volume 2, pages308–320(2016)