
食物繊維をとれば、痩せられるという話を聞いことはありますか?
テレビや雑誌などでたまに取り上げられているのを見かけます。
でも、なんで食物繊維にダイエット効果があるのかを知っている人は少ないと思います。
食物繊維に栄養がたくさん入っているということではありません。
人間は食物繊維を消化・吸収できないのです。

こう思われるかもしれません。
ですが、私達の栄養にならなくても、別の生き物の栄養になっているんです。
その生き物が腸内細菌です。
腸内細菌はその名の通り、私達の腸の中に住んでいる細菌のことです。
私達の腸の中には、100兆以上の腸内細菌が住んでいると言われています。
「細菌が住んでいるなんて気持ち悪っ」と思われたかもしれません。
ですが、この腸内細菌がいてくれるおかげで私達は健康に生きていけるのです。
そして、そんな私達の健康を助けてくれている腸内細菌のエサになるのが食物繊維なのです。
記事の流れ
- 食物繊維が腸内細菌を増やしくれる
- どれくらいの食物繊維が必要なのか
- もっと腸内細菌を育てたい人向けの3つのアドバイス
食物繊維が腸内細菌を増やしてくれる
冒頭で、食物繊維は腸内細菌のエサになるから良いんだよ、と言う話をしました。
ここからはより具体的に「なぜ、腸内細菌が増えると痩せることができるのか」をお話します。
2010年にハーバード大学が行った、食事内容と腸内細菌についての研究をご紹介しようと思います。(*1)
この研究では、アフリカの都市化していない小さな村に住む子どもたちを調べ、その食事内容と腸内細菌の種類を観察しました。
食事内容に関して調べてみると、私達のような先進国に住む人の食事内容と比べると、食物維質の多い食事内容だったそうです。
日本のようにコンビニやスーパーがすぐ近くにあるとう状況ではないので、自然に存在する野菜や果物を取ってきて食べる生活なので食物繊維が多くなるのは当然といえば当然です。
アフリカの子どもたちが食物繊維の多い食生活を送っていることがわかりましたが、問題はここからです。
なんとこの子どもたちとヨーロッパ(先進国)に住んでいる人とでは、腸内細菌の種類が全然違ったのです。
この研究では「バクテロイデス門」と「フィルミクテス門」と呼ばれる2種類の腸内細菌に注目しました。
(名前はどうでもいいので、サラッと読み飛ばしてください)
- アフリカ人:「バクテロイデス門」が多く、「フィルミクテス門」が少ない
- ヨーロッパ人:「バクテロイデス門」が少く、「フィルミクテス門」が多い
なぜこのような差があるのか?
その答えが、食事内容(食物繊維の量)です。
日本やヨーロッパなどの先進国に住む人の食事には食物繊維が少ないことが知られています。
それは、自然の食材をそのまま食べていないからです。
さっき食べた食事内容を思い出してください。
食べた物の中身を全て正確に言えますか?
- 加工食品
- 精製された穀物
- 飲みやすくされた飲み物
このような食べ物や飲み物は、高度に加工されていて、もはや原型がわからなくなっています。
パッと見で原材料なんてわからないですよね?
加工された飲食物は色々なものが足され、色々なものが取り除かれています。
その取り除かれているものの中に食物繊維もあります。
食物繊維は、加工するときに邪魔になったり、舌触りが悪くなるので取り除かれるのです。
野菜をミキサーにかけても、サラサラの野菜ジュースにはなりませんよね?
あのドロドロの原因が食物繊維です。
食物繊維が少ない食生活をしていると、バクテロイデス門の腸内細菌の数が減ってしまいます。
それは、バクテロイデス門の腸内細菌は植物性のデンプンと食物繊維をエサにしているからです。
バクテロイデス門の腸内細菌の特徴は、食物繊維などを短鎖脂肪酸に分解してくれることです。
短鎖脂肪酸には、脂肪細胞に作用し脂肪の取り込みが止める働きがあります。
つまり、食物繊維が多い食生活の人にはバクテロイデス門の腸内細菌が多く、結果的に脂肪が付きにくい体になるということです。
有名な科学雑誌Natureに掲載された論文でも、肥満の人の腸内には、バクテロイデス門の細菌が少ないことが明らかになっています。(*2)
また、食物繊維は食欲にも影響を与えることがわかっています。
食物繊維を食べると、食欲ホルモンの「グレリン」の分泌が抑えられることが様々な研究によって明らかになっています。
”たくさん食べないと満腹感を感じられない”という人は、食物繊維の多い食生活に変えてみることをおすすめします。
食べる量は同じでも、内容によって満腹感の感じやすさは変わってきます。
小難しい話が続いたので、これまで説明してきた内容をザックリ簡単にまとめます。
食物繊維のダイエット効果
- 腸内細菌のエサになり、脂肪が付きにくい体質になる
- 食欲を抑える
ここまでは食物繊維のダイエット効果だけに注目して書きましたが、食物繊維によって増える腸内細菌は「健康」「メンタル」「睡眠」などとも密接に関わっていることが知られています。
何か体に不調がある人は、食物繊維の多い食生活にすることで解決できる可能性があります。
ここからは具体的な食物繊維の摂取量についてお話していきます。
どれくらいの食物繊維が必要なのか

1日に必要な食物繊維の量
まずは量について、お話しようと思います。
厚生労働省が発表しているガイドラインによると、1日あたり男性20g以上、女性18g以上の食物繊維を摂取することが望ましいとされています。
そして、日本人を年齢・性別で分けて、1日平均どれくらいの食物繊維を食べているのかを表したのが下のグラフです。
どの年齢・性別も食物繊維の摂取量が足りていないことがわかります。
それくらい、今の欧米化した食生活では食物繊維を摂ることは難しいのです。
食材別の食物繊維の量
どれくらいの食物繊維が必要なのかはわかりました。
次に必要な情報は、「どの食材に、どれくらいの食物繊維が入っているか」です。
「食物繊維=野菜」のようなイメージがありますが、他の食べ物にも食物繊維は入っています。
- 野菜類
- 果実類
- 海藻類
- きのこ類
海藻類なんかは意外だったんじゃないでしょうか?
代表的な食材の食物繊維の量をまとめてみました。
100gあたりの食物繊維量(g) | ||
野菜類
|
たまねぎ | 1.6 |
にんじん | 2.7 | |
きゃべつ | 1.8 | |
レタス | 1.1 | |
トマト | 1 | |
大根 | 1.4 | |
切り干し大根 | 20.7 | |
きのこ類
|
しいたけ | 3.5 |
干ししいたけ | 41 | |
果実類
|
りんご | 1.5 |
バナナ | 1.1 | |
海藻類
|
乾燥わかめ | 32.7 |
乾燥ひじき | 43.3 |
乾燥させた食べ物の食物繊維がとても多いことがわかります。
乾燥させることによって栄養素が変化して、より健康的な食材になるようです。
昔から「しいたけは一度乾燥させてから使ったほうが良い」と言われている理由はこのためです・
昔の人は感覚的にわかっていたんでしょうね。
だからと言って毎日、干ししいたけや切り干し大根を食べるわけにはいきませんよね。
(好きな人なら毎日食べても良いと思いますが)
日常的に食べる「たまねぎ」「にんじん」「きゃべつ」あたりだと、1000g近く食べないといけない計算になります。
キャベツだと丸々1個です、これはなかなか厳しいです。
さきほどのグラフで示したように、みんな食物繊維が足りていないのも納得です。
食物繊維の量を増やすのが難しいことがわかりました。
では、どうしたらいいのでしょうか?
もちろん、頑張って毎日、「干ししいたけ」や「切り干し大根」を食べるのも手でです。
しかし、あまり現実的ではないのです、私がおすすめする方法は「顆粒タイプの食物繊維」を使うことです。
野菜や果物を普段から多く食べている人には必要ありませんが、毎食しっかりと野菜や果物を食べている人は少ないと思います。
そんな人におすすめなのが、「顆粒タイプの食物繊維」です。
飲み物や食べ物に簡単を溶かすことができるので、忙しい人でも簡単に食物繊維を摂ることができます。
「体脂肪を減らす◯◯配合」のようなことが書かれている高価なサプリンメントには、科学的な根拠がないものも多くあります。
しかし、これまで説明してきたように食物繊維のダイエット効果は科学的に証明されています。
毎日使っても、1月で1000円もかからないので、コスパも良いです。
私はご飯を炊くときに一緒に入れています。
味に変化はなく、食物繊維の量だけ増えるのでとても満足しています。
私は普段、「イヌリン」という顆粒タイプの食物繊維を使っています。
「イヌリン」は食物繊維の中でも、特にダイエット効果が強いと言われているので選びました。
同じイヌリンでも、砂糖などから合成して作られるものよりも、植物由来のものの方が自然で良いと思います。
余談ですが、イヌリンを色々なものに混ぜるようになってから約2週間で昔からの悩みだった下痢が解消されました。
食物繊維パワー恐るべし。
もっと腸内細菌を育てたい人向けの3つのアドバイス
メインの話は終わったのですが、ここまで読んでくれたあなただけに、追加情報です。
この下に書いている3つのポイントを守れば、さらに効率よく腸内細菌を良い状態にすることができます。
食物繊維と一緒に、初めてみてください。
発酵食品を食べよう
発酵食品には、たくさんの健康に良い細菌が含まれています。
発酵食品をたくさん食べれば、それだけ腸内環境がよくなるので、積極的に食べましょう。
ヨーグルト・納豆・キムチ、何でも良いので好きなものを食べましょう。
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()人工甘味料は避けよう
人工甘味料を大量に摂取すると、腸内細菌が死んでしまうことがわかっています。
ここまで読んでくれたあなたなら、腸内細菌の大切さはわかってくれていると思います。
せっかく食物繊維を摂っても、腸内細菌が死んでしまっては意味がありません。
カロリーゼロの炭酸飲料やダイエット飲料には、人工甘味料が使われていることが多いので、飲まないことをおすすめします。
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アルコールの飲み過ぎには注意しましょう
お酒は百薬の長と言われますが、飲み過ぎは良くないです。
肝臓に負担がかかるというのもありますが、腸内細菌にも悪い影響を与えます。
毎日飲むのはやめましょう。
どうしても、毎日飲みたいのであれば赤ワインがおすすめです。
赤ワインにはポリフェノールが豊富に含まれており、1日1杯の赤ワインは健康に良いという研究結果もあります。
だからと言って飲み過ぎは良くないので、赤ワインでも1日1~2杯にしましょう。
ちなみに私はワイン好きです。
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良ければ、ブログの感想も言ってくれると嬉しいです。
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【参考文献】
(*1)
Carlotta De Filippo, Duccio Cavalieri, Monica Di Paola, et al.
Impact of Diet in Shaping Gut Microbiota Revealed by a Comparative Study in Children from Europe and Rural Africa.
PNAS August 17, 2010 107 (33) 14691-14696
(*2)
Turnbaugh PJ, Ley RE, Mahowald MA, Magrini V, Mardis ER, Gordon JI.
An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest.
Nature. 444:1027-1031.